読み物

Minimalさんとのご近所さんコラボ

僕たち、めちゃくちゃ
美味しくて新しいケーキを
作っちゃいました。

Minimal 代表 山下貴嗣さん / シズる商店・番頭の鳥羽周作

Minimal 代表 山下貴嗣さん、シズる商店・番頭の鳥羽周作

シズる商店の自信作
「チーズだったりチョコだったりするケーキ」は、
東京・渋谷区富ヶ谷のクラフトチョコレート専門店
「Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)」さんとの
濃密な共同作業を経て誕生しました。

Minimal代表の山下貴嗣さんと
シズる商店・番頭の鳥羽周作は、
代々木上原エリアに拠点を持つ、ご近所さん同士。

日頃から交流し、リスペクトし合っているおふたり。
そんな両人が手掛けた新しいケーキの誕生秘話を、
とっても天気のいい昼下がり、
Minimalさんの店舗前でのんびり語り合いました。

山下貴嗣さん

やました・たかつぐ。1984年、岐阜県生まれ。
カカオ豆(Bean)から板チョコレート(Bar)が
できるまでの全工程(選別・焙煎・摩砕・調合・成形)を管理し、
製造するBean to Barのチョコレートとの出会いをきっかけに
株式会社βaceを創業、カカオにこだわる自社ブランド
Minimal -Bean to Bar Chocolate-」を立ち上げる。
世界最高峰の国際品評会で金賞受賞するなど
海外での評価も高い、日本を代表するチョコレートブランドへと成長させる。

Minimalさんのチョコレートは唯一無二

「チーズだったりチョコだったりするケーキ」
今回、共作したこのケーキの
特徴について教えてください。

鳥羽

「なんと言ってもチョコレートです。
Minimalさんの最高のチョコレートを、
一番美味しいと思う形にしたら、こうなった。
あの唯一無二の味を生かした結果が、
このケーキの味を決めたと思います」

山下

「美味しいはお客さんが決める事ですが、
鳥羽さん達と僕ら自身が、
誰が食べても美味しいという事を目指して
全力でつくったと言うことは約束します。
それだけじゃなく、
口に入れた時にチョコとチーズ、
どっちを感じ取るかによって、
表情が全然違う
そこに時間軸も入って、
時間の経過で味も変化する。
多面的であり、余白があるんです。
お客さんが自分の感性を入れ込む余白が、
めちゃくちゃあるのが面白いと思うんです」

鳥羽

「そうそう、そこの面白さがあるね」

山下

「中心の世界観はブレてないんですけど、
その『美味しい』の中に、
ものすごく複雑な味が組み込まれてるから、
お客さんが自分の感じ方を自由に遊べる。
余白を存分に楽しめるケーキですよね」

ですよね、鳥羽さん

「ですよね、鳥羽さん」

試作を重ねる中で苦労したことはなんです?
鳥羽

「やっぱ、酸味ですかね。
Minimalさんのチョコレートは、
酸味もすごくきれいで、いろんな香りがする。
それを生かすには、どうしたらいいか。
うちのチーズケーキとあわせてどうなるか。
またレストランとして、
どういう形で表現するか。
色んなチョコレートで試しながら、
作り上げていったんですよ」

山下

「鳥羽さんの料理は、酸味と苦味が骨格で、
すごい酸を使うわけです。
うちのチョコも酸味に特徴がある。
その酸をどうするか、という問題。
いろいろと試した結果、
あえて酸を前に出さないようにしました」

鳥羽

「そうそう。
絶妙なバランスで設計しています」

山下 「僕らはチョコに関してはプロだけど、

あくまで洋菓子屋のアプローチ。
だから、鳥羽さんのレストラン視点での
考え方がとても興味深く新鮮でした。
試作を重ねる度に、
鳥羽さんがなにを考えているのか、
その解像度が上がっていき、
双方の歯車
噛み合っていったような気がします」

鳥羽

「それはすごく感じましたね。
僕は割と人とコラボするとき、
自分ひとりでやっちゃうタイプだけど、
今回は山下君の専門知識がすごくて。
だから今回のコラボって
一緒に作っている感が、すごくあった。
馴れ合いじゃなくて、互いのアイデアが
しっかり積み上がっていく感じ。
プロ同士、ギリギリのせめぎあいで、
でもなんかずっと楽しいというか。
本当の意味でコラボをしたな、
という感じが非常にしています」

これがコラボだよな、山下君

「これがコラボだよな、山下君」

鳥羽 「有名店同士のコラボって、
難しいこともあるけど、
僕らは、双方が望む土俵での
ベストな提案ができたし、
どっちの良さも表現できた。
みんなが満足いくケーキができたのが
嬉しいし、それを皆さんに届けられる
ことが喜びでしかないです」
山下

「僕がやっていて面白かったのは、
最終的に『王道で行く』と思えたところ。
この手の商品開発は、差別化を図るため
割と隅っこを狙いに行くようになる。
その方が特徴がわかりやすいので、
お客さんに伝わりやすいんです。
でも、今回は正々堂々と
『真ん中で行こう』、と自信を持てた」

鳥羽

「トリッキーなことして目立っても
それって意味あるのか、という話で。
僕らは一瞬のバズを作るんじゃなく、
本質的な文化を作りたいわけだからね。
王道を行って『普通』を引き上げたい。
でも、このケーキは『普通』じゃない」

山下

「王道だけど、普通じゃない」

鳥羽

だって、時間とともに、
それぞれの温度帯で味が変わる
まったく新しいタイプのケーキだから。
瞬間、瞬間で切り口が変わるって、
レストラン体験そのものですよ。
そんなものが作れたっていうのが、
めちゃくちゃかっこいいし、
イノベーションだと思うんですよね」

「美味しい」の前にある「思い」

僕が好きなのは、山下君の心なのよ

「僕が好きなのは、山下君の心なのよ」

そもそもですが、なぜ今回のプロジェクトで
Minimalさんと組んだのでしょうか?
鳥羽

「それは山下君やMinimalさんの
考えに共感する部分が多いから。
素材であるカカオ豆に着目し、
ひたすら素材を追究するストイックさ。
その姿勢からつくられるチョコレートの
シンプルで力強い味わい。
なにからなにまで、やっていることの
本質的な部分をリスペクトしているんです」

リスペクトしている「本質的な部分」について
もう少し詳しくお話いただけますか。

鳥羽

「プロダクトを通して世の中に、
何を伝えてどうしていきたいか。
要するに、いいものをつくり、
いい社会にしようと、という思い。
生産者さんと向き合って、しっかり交渉し、
納得してカカオを買い付けて、
焙煎して、発酵それらの工程を
すべてを自社でやっているわけですよね。
その入り口から出口までの思いが素晴らしい。
これって簡単に真似ができないと思うんです」

たしかに大量生産型とはまったく真逆の思想です。

山下

「だから儲からないんですけどねぇ(ボソッ)」

人気店やってるのに全然、儲かりません

「人気店やってるのに全然、儲かりません」

鳥羽

「だからといって山下君は、
生産者さんを買い叩くようなことはしない。
いいカカオをつくっている農家さんには、
きちっと高い金を出して買っているわけで。
技術がある人は他にもいるかもしれないけど、
しっかり『思い』がある人って少ないよ」 

山下

「僕はそこまで聖人君子ではないです(笑)
単純にカカオという素材が面白くて、
ただ、うまいものを作りたいだけで。
うまいものを作りたいのなら、
カカオは高品質じゃないといけないし、
それを求めるなら市場価格じゃ見合わない。
僕は、うまいものを作ってもらうために、
それに見合う金額を払うね、というだけです」

そこの部分に関しては結構ドライな交渉を?

山下

「まぁ、ビジネスですから(きっぱり)。
僕は生産者に対しては、
『君たちが10年、20年、30年先に、
ワインのボルドー五大シャトーみたいに、
世界から憧れられるカカオ農家に
なると信じているから頑張ろう』
ドライに話していますよ」

えっと全然、ドライじゃない(笑)。

鳥羽

「そう、熱すぎるんですよ。
シャイだから認めないけどね。
こういう、山下君のシャイなところも好き。
でね、受け取る側は、山下君の思いを
ちゃんと受け取っているんです。
だって、アウトプットした商品に、
きちんと思いが入っているのがわかっちゃうから」

鳥羽

「シズる商店がお仕事をご一緒したいのは
こういう人であり、会社。
僕らは何を使うかよりも、
誰のものを使うか、を重視しています
そこがない物は、心を打たないから。
ただうまいだけのチョコレートは、
世の中にいっぱいありすぎる。
僕らが組みたいのは、そこじゃない、
心に響くチョコレート
それがMinimalさんのチョコレートなんです。
その魅力がふんだんにつまった、
そしてそれを僕らの解釈で
新しい体験価値にまで昇華したケーキを
少しでも多くの人に味わってほしい。
『美味しい』の前にある『思い』を感じ、
そして『美味しい』の先にある
『幸せ』に浸ってほしいと思います」

この記事の商品

チーズだったりチョコだったりするケーキ

それは、温度によっておいしさが変わる不思議なチョコチーズケーキ。冷蔵庫から出してすぐのときは、ひんやり冷たく、口のなかで溶けていくチーズの味わい。そして、15分ほど常温になじませると、ほんのりカカオの香りが開いてきます。すると、まるでさっきとは別人のような深みのあるチョコの顔つきに変わるのです。

くわしく